加賀友禅　鳥のもん

□ 友禅の鳥のもん

おめでたいイメージの鳥というと思い浮かぶのは、鶴や鴛鴦ではないでしょうか。加賀友禅でも登場する鴛鴦（おしどり）は、正倉院に収められている工芸品の装飾に仲良く向かい合う鴛鴦の文様が残されています。古き頃より縁起の良い鳥なのです。現在でも夫婦の仲睦まじい姿を表す鳥として　つがいで着物や帯に描かれ、格調高い文様と言われています。

 友禅染めでは、一対の鴛鴦を描くには色を20色調合し描きます。美しい鴛鴦を生き生きと描きたかったので顔の表情や尾羽のグラデーションは痕が付かないように随分練習した事を思い出しますね。　

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□ 写真で紹介している友禅の鳥は鳳凰。

鳳凰（ほうおう）とは古代中国の伝説の霊鳥のことで瑞祥を代表する特別な鳥です。また皇帝の象徴であった龍文の次位の文様として扱われていた格高い紋様です。想像上の瑞鳥であった為、形や色はそれぞれの時代の特色で変化があるそうです。正倉院の宝物にも数々の工芸品の装飾に見られ、西方の影響も見られるそうです。

仏教と供に日本に舞い降りた鳳凰は、飛鳥時代から盛んに使われはじめました。友禅染めでは、頭部が雄鶏、足は鶴のように長く、尾羽は孔雀（くじゃく）風なものや唐草や宝相華風の意匠もあって非現実的な感じですが、長くなびかせた尾のデザインは優雅でとても美しいです。体は羽毛が青海波風な形などもあり良きことが、無限に広がるようにとの願いが込められています。異国情緒あふれる鳳凰文様は、和様化の中で絢爛豪華に描かれ子孫繁栄を祝う瑞兆文様として長く親しまれています。　　

 四季の華やかな草花が咲き誇る和の庭園をイメージした（物語文様の）友禅柄にイキイキとした鳥を登場させることで絵に息を吹き込んでいるように感じます。また鳥は、飛翔することへの憧れの他、鳥の表現は友禅染めの技術の高さを誇るみせ場でもあります。

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