加賀友禅 kaga-yuzen
加賀友禅は石川県で生産される日本を代表する着物です。
その起源はおよそ500年前からある技法「梅染め」に遡り、17世紀中頃、兼房染めや色絵、色絵紋の技法が確立され、その後、宮崎友禅斎が意匠を改善し、友禅糊の開発などで加賀友禅の基礎を確立しました。
写実的な草花模様の絵画調は京友禅と対照的で、武家風の趣が感じられます。五彩といわれる藍・臙脂・黄土・草・古代紫を基調とする多彩調で有ることも、淡青淡彩調の京友禅との違いです。線の太さやぼかしでアクセントを付け、虫食いなどの自然美や時の流れを巧みに表現します。挿色の傍線に使う糸目糊を水で洗い落とすと白っぽい柔らかな線が浮かび上がり、草花の葉筋や水の流れなど繊細な表現による装飾効果を高めています。
友禅染めの工程
加賀友禅の着物は、沢山の工程から成っております。それぞれの工程で専門の職人がいます。
手描き友禅は、全ての工程を繊細で緻密な手作業によって絵画のように描き染めていく、日本が誇る唯一無二の染色法です。
01 図案
図案づくりや色あわせは、いつも試行錯誤のくり返し。なん度でも書き直し調整してすすめ練ります。
02 下絵
デザインを青花(露草の花の汁を集め染み込ませた和紙を水でといた絵の具)で生地に写す。
※手作業で摘み取った露草の花びらを搾った青花は貴重です。
03 糸目糊置き(イッチン糊・筒描き技法)
筒先の先金の穴は、わずか0,1mm 下絵に沿ってもち米を原料にした糊を生クリームを絞り出すように細く糊を引く作業です。友禅の特徴です。
04 地入れ
糸目糊が乾いたら生地に呉汁を刷毛で塗り 細い糊を生地にしっかりと定着させる。(色のにじみ防止)
05 彩色(手挿し)
基本の染料を混ぜて色を調合する。
糊置きした中に筆や刷毛で多様な色を挿す作業。生地の下から電熱をあて乾かしながら色をさします。隣同士の色が混ざることなく、色の区別が細かく、鮮明な染めが生まれます。
06 下蒸し(仮蒸し)
特殊な蒸し室で、彩色した柄を生地に定着(色止め)させます。
07 伏せ糊(中埋め)
絵柄の表面全体をもち米のペースト状の糊で隅々コーティングし、おが屑をかけ乾かす。地色を染める為の下準備。
08 地染め
布を張り木針や伸子ばりという道具を使い生地をピンと張り、巾20㎝の刷毛などを使って、絵柄以外の地の部分を一気にムラなく染めていきます。季節によって乾き方が違います。この後は、乾くまで目が離せません。地染めも高度の熟練を要します。
09 本蒸し
生地が乾いたら、再び蒸し室で反物を蒸します。地染めした染料を生地に定着させる工程です。
010 水元(みずもと)
友禅流しとも言われ 水の流れの中で糊など生地に付いている不純物を洗い流す。糸目糊を置いた部分は、白い線として残り、鮮やかな色使いと糸目糊の白い線は、友禅染の美しさを決めます。以前は、浅野川で行われ金沢の風物詩となっていましたが、現在では、水質・水量の安定している人口の川で作業されています。
011 湯のし
水を潜って縮んだ生地を柔らかな絹本来の状態に戻すこと、シワを伸ばし生地巾を整える工程です。
012 完成
丸巻(まるまき)の状態が完成です。着物は、仕立ててしまうと中古扱いになります。展示会などの時は、仮縫いの仕立てになります。また、絹はその日の状態で長さに変化があります。その為、友禅の着物の仕立ては柄合わせが大変です。熟練の仕立て技術がないと美しい模様の着物になりません。
【作品例】
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