庭に植えれば一気に鮮やかに彩る牡丹。
自宅の牡丹の花も5月の暖かな風に誘われて次々鮮やかな色で大輪の花を咲かせました。
今年も、華やかで美しい見頃となりました。
牡丹は中国原産地のとても美しい花を咲かせる植物です。中国では古きころより百花の王として富貴を象徴する吉祥文様で、牡丹の栽培が盛んになり絶大な人気を博したことで牡丹唐草文様や折枝文様(せっしもんよう…切り花文様)などの文様が工芸品に取り入れられたそうです。
一説によれば日本では、奈良時代に薬用植物として渡って来たのが始まりで、平安時代後期に工芸品や貴族の装飾に好まれ意匠化されたそうですが、意外なことに異国的な雰囲気が今一つ受け入れらず その後、人々の注目を集めたのは江戸時代入って 家紋に用いたり、江戸中期以降にようやく花の豪華さに関心が集まり栽培が進んだことで人々の身近な植物、牡丹文様となったそうですよ。
牡丹文様発祥の地、中国では、百花の王・富貴と雄々しい象徴とされましたが、日本で牡丹の花の妖艶な姿から「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」といった女性的なことわざもあります。幾重にも重なる花びらは絹のような繊細な様子から加賀友禅では、振袖はもちろん黒留袖や色留袖にも好んで描かれました。振袖は、牡丹の花を中心に四季の草花それぞれもっとも美しく咲く姿を集めた四季草花文様図など豪華に描かれています。花が大きく花びらの枚数も多い牡丹を描くことは、染めの職人の技術の高さを誇る見せ場でもあります。
初夏の花 テツセンも涼しげに咲き初めていました。
今は、クレマチスと言ったほうがなじみがあるかもしれませんね。
鉄線花/鉄仙花(てつせんか)といい 蔓がしなやかで白色や紫色が美しい花が魅力です。このテッセンも原産地は中国で、鉄線花文様も中国で生まれたそうです。
日本には、室町時代に渡来し観賞用として好まれました。また、その蔓が鉄のように固いところから家紋にデザインされたり、結びつきを堅固にと願う女性たちに愛用され、花嫁衣装に鉄扇唐草文様が好まれたそうです。お雛様の花嫁道具にも唐草文で装飾されていますね~唐草模様に深い願いが込められていたんですね。
以前は、清らかな姿の植物であってもツルモノは、夏を強くイメージする季節感のある植物は、加賀友禅では好まれない模様でした。また唐草模様は、緑色の蔓の風呂敷のイメージが強かったこともあるかもしれませんね。
鉄線梅紅葉図という名の着物もありました。針金のように真っすぐに伸びた枝に紅葉と梅の花の模様でした。
唐草文様/からみ草文様とは、蔓性の植物で空間などを満たした文様のことで、日本では飛鳥時代に唐から渡来した仏教装飾文様の一つで唐草と呼ばれています。この文様の起源はギリシャやローマで発展した連続文様という説もあるそうです。常に成長し発展性を秘めた美しい唐草文様は世界中に広がります。日本も、梅や菊や松などの蔓を持たない植物までも巻き込んで意匠化された歴史ある文様です。
写真の金澤友禅硝子の器『Ruri-wa』(ルリワ)は、唐草文様やヨーロッパ更紗文様をイメージした宝相華を描いた、手描き友禅ガラスの器です。しなやかな蔓と葉に華やかな花文様。色はアンティーク調の深い鼈甲色とスパイシーな青にデザインしました。硝子のひんやりとした質感に手描き友禅の美しいゆらぎ、やわらかな温もりある「Ruri-wa」。手仕事の過程で生まれるにじみも手染めの魅力の一つ、一点もの気分でお茶の時間をお楽しみください。
更紗模様はヨーロッパでは、16世紀頃 ポルトガル船舶オランダ船舶などによってインド更紗は極上の木綿織物品として渡来しました。アジアのエキゾチックな更紗文様は、ヨーロッパの上流階級で熱狂的な人気になったそうです。その後17世紀以降にインド更紗を元にしてお国がらを反映した風情ある更紗、ヨーロッパ更紗文様が誕生。さらに機械化でプリントと紡績の技術が発達したことで木綿のヨーロッパ更紗は量産したそうです。
日本での西アジア更紗の渡来は室町時代、16世紀頃ヨーロッパの貿易船から輸入されました。希少な舶来品は、斬新なデザインを好む武将の陣羽織や茶道の貴重な名物裂として珍重されたそうです。異国の更紗の繊細で絵画的高度な染色技術や色も多彩な蝋防染の技法に大いに刺激を受け、染め文様の表現が注目されました。
そして、日本独自の染め糊防染と刷毛や筆で色挿しを絹地で行なう染色「茶屋染め」(友禅染め)が江戸時代中期に完成、流行したそうです。しかし、模様染めは大変手間がかかる贅沢品、庶民は着ることができなかったとか、それで模様染めを簡略化した染め、和紙を渋柿で張り合わせ型地紙に模様を彫る日本独特な型紙の染め物が人気があったそうです。
インド更紗を辿るとなんと友禅染めも何らかの形で影響を受けていたとは…驚きました。今までは、辻が花染めから江戸時代中期に突然、模様染め(友禅染め)が現れる?深い霧に包まれる様にはっきりしない。友禅染めの始まり(歴史)は謎の多い事ばかりでした。
更紗は、紀元前から行われているインドが起源の世界で最も長い歴史がある木綿の文様染めなのだそうです。残念ながら、誕生の時代はわからないそうです。
インド更紗は、いくつかの技法があるそうですが、木版を利用して文様づけられた型更紗は、手刷りなので必ずしも機械捺染のようにうまくできていない箇所もあるそうです。そんな異国のおおらかな趣がエキゾチックな更紗の魅力。人の手で作る更紗文様のムラには、ぬくもりがあって心も和みます。
⚘⚘⚘⚘⋆⋆⚘⚘⚘⋆⚘⚘⋆⋆⚘⚘⚘⚘⋆⋆⚘⚘⚘⋆⋆⚘⚘⋆⋆
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【お取り扱い店】
【石川県立美術館】
住所:石川県金沢市出羽町2-1
開館時間/ 9:30~18:00
ミュージアムショップ営業時間/ 9:30~19:00
□ 石川県立美術館ミュージアムショップにて まめ福シリーズ/ぷち福シリーズ/chouchou 繻紗 販売中。(ミュージアムショップは年中無休)ぜひ、お立ち寄りください!
【関連よみもの】
© 2019 anmithu-irono kanazawayuuzenkoubo corp.