キモノに出会うきっかけは、十人十色といいますね。
わたしがキモノにふれたきっかけは、振袖でした。
高価なキモノを選ぶということだけで嬉しさでいっぱいでしたが、着物に帯と選んでいるうち縁起がイイとか、格が上がる模様など、文様の不思議を感じた記憶があります。
それから、加賀友禅の仕事をするようになってあらためてキモノの模様の楽しさを知りたいと調べていくと、なんと、あれもこれも「吉祥文様」だと気づきました。
昔は、特別な行事はもちろん 粋でユニークな吉祥模様をまとって日常暮らしていたと言ってもいい過ぎではなく、日本人のおおらかさや意匠の奥深さにあらためて感服!ステキな発見でした。
ますます、キモノの柄に愛着がわき 友禅で表現したいとはじめて描いたのが、めでた尽くしの薬玉(くすだま)と熨斗(のし)の柄でした。
□「くす玉」と聞くと、イベント等などで丸い玉が、ぱかっと割れて中から紙吹雪が散る様子をイメージする方が多いと思いますが、元は大陸から伝えられたモノ。端午の節句などに、魔除けや邪気を払う道具として使っていたそうです。
平安時代になると、薬草、香草、香料を錦の袋に詰め、菖蒲や蓬、美しい造花などで飾り付けして五色の糸をたらした香りよい優雅な飾り玉になり、贈りものとしても人気があったとか。延命長寿、無病息災の願いが込められた「久寿玉文様」友禅でも、四季の花が描かれた華やかなブーケのようで縁起良い文様と親しまれています。写真は菖蒲の葉と蓬に桜を描いた友禅染の薬玉です。花はいろいろ入れず日本を象徴する桜の花を入れリース風にしてみました。
□「熨斗」(のし)とは⇩、アワビの肉を薄く削いで引き延ばし乾燥させた琥珀色のものです。のし鮑は延寿を象徴するとして束ねて紙に挟んだものを祝儀や進物や引き出物に添えたことがはじまりだそうです。熨斗を細長い帯状に意匠化し数本重ねて真ん中を結わえた模様を「熨斗文」「束ね熨斗」(つかねのし)と呼んでいます。
友禅では、細長い帯に縁起よい模様や割付模様を描いた熨斗を重ねることから多くの人から祝福を受けていること、幸せを分かち合って欲しいという願いが込められています。人との絆や繋がりを表したおめでたい文様で贈りもにも喜ばれています。模様は、伝統のなじみある縁起良いモチーフを選び、何度も試行錯誤し意匠化してみました。和小物の写真、時々追加していきます。よろしくお願い致します。
あらゆる災いから免れるために素朴な祈りを込めた文様は、何千年もの長い時間を経て、大陸から伝えられました。平安時代頃から身近なモチーフ植物や動物を取り入れた情緒ある日本独自の文様など数々生み出され大流行。
おめでたいもの 縁起のいい兆しを文様に表したものを「吉祥文様」といい 魔除け、厄除けの効果がある。そんなパワーを持っています。
いつも「まめ福」「ぷち福」に見守られ ほっとひと安心。
由来やエピソードを知れば知るほど魅力あふれるものばかりで、うれしくなってくるはずです。
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